目次
従業員エンゲージメントとは?
エンゲージメントは「契約・約束」といった意味ですが、企業の人事分野で使われる従業員エンゲージメントとは「会社と従業員の信頼関係、従業員の企業に対する愛着心」という意味です。
従業員エンゲージメントの向上は組織の活性化や人材の流出防止といった効果があります。近年、さまざまな理由から転職を考える人が増えていますが、企業にとって優秀な人材の流出は防止すべきことであるため、人材の流出を防止できる従業員エンゲージメントが注目を集めています。
また、コロナ禍でリモートワークの導入が進んだため社内コミュニケーションが減り、従業員エンゲージメントが低下している背景からも、従業員エンゲージメントの向上が必要とされています。
従業員エンゲージメントを高めるメリットは?
ここでは、従業員エンゲージメントを高めるメリットを解説します。
組織の活性化
従業員エンゲージメントが高まると、ビジョンへの共感や会社への愛着心から従業員のモチベーションも高まります。そして、従業員が自らが課題解決や新しい提案など、積極的に動くようになり、活発な組織に発展していきます。
業績の向上
従業員エンゲージメントの高まりは業績の向上にもつながります。会社への信頼や愛着心から従業員のモチベーションが高まり、生産性の向上やイノベーションの創出がみられるようになり、業績の向上につながっていきます。
人材の定着率上昇
人材の定着率上昇も従業員エンゲージメントを高めるメリットの1つです。従業員エンゲージメントが高い状態は、従業員が会社への信頼や愛着心を従業員が持っており、従業員が会社で働くことに価値を見出している状態です。
会社で働くことに価値を感じていれば、従業員もすぐさま転職するとは考えにくいです。そのため、従業員エンゲージメントが高めると人材の定着率上昇につながります。
従業員エンゲージメントを高めるには?
ここでは、従業員エンゲージメントを高める方法を解説します。
企業理念やビジョンを共有する
従業員エンゲージメントを高めるには企業理念やビジョンの共有が大切です。理念やビジョンが共有されていないと、会社の目指している方向がわからず、従業員が働く目的がわからなくなり、エンゲージメントが低下してしまいます。
そのため、企業理念やビジョンを研修や社内報で発信し共有するのが重要です。
スターバックスコーヒーの事例「4ヶ月ごとの人事考課」
スターバックスでは4ヶ月に1度、アルバイトを含む従業員に人事考課をおこない「将来なりたい姿」や「そのために今どうすればよいのか」などをヒアリングしています。ヒアリングの際に企業理念と従業員の行動を結びつけることで企業理念の浸透を図っています。
企業HP:スターバックスコーヒージャパン株式会社
社内のコミュニケーションを増加させる
社内コミュニケーションの増加も従業員エンゲージメントの向上に大切です。従業員エンゲージメントを高めるには企業への帰属意識が重要です。社内コミュニケーションの増加で従業員同士の良好な関係を作ることで、帰属意識を醸成し従業員エンゲージメントを高められます。
また、昨今はリモートワークの導入が進み従業員同士がコミュニケーションを取る機会が減っているので、社内コミュニケーションの増加は特に大切であるといえます。
株式会社レバレッジの事例「オンライン運動会」
フィトネス系メディアの運営をおこなっているレバレッジでは、テレワーク中の健康増進やコミュニケーションの増加を目的にオンライン運動会を実施しました。テレワーク中はコミュニケーションを取るのが難しいですが、オンライン運動会のようなイベントを開くことでコミュニケーションの増加を推進できます。
企業HP:株式会社レバレッジ
働きやすい環境をつくる
従業員が働きやすい環境をつくるのも大切です。長時間労働や有給が取れないなどの働くうえで従業員が不満に感じることがあっては企業に信頼感や愛着は沸かず、従業員エンゲージメントは高まりません。そのため、福利厚生や各種制度で働きやすい環境をつくるのが大切です。
株式会社TBエンジニアリングの事例「育休取得推進」
自動車部品の設計開発を手掛けるTBエンジニアリングでは、育休取得の推進に力を入れており、働きやすい環境をつくっています。男性従業員含め育休取得対象者に、会社のトップ自らが積極的な活用を促しています。また、特定の人しかできない仕事をなくし、誰が職場を離れても業務が滞らないようになっており、育休が取りやすくなっています。
企業HP:株式会社TBエンジニアリング
教育や研修で成長を支援する
教育や研修で成長を支援するのも従業員エンゲージメント向上につながります。教育や研修で従業員の能力を向上させれば、モチベーションが向上しエンゲージメントの高まりが期待できます。

株式会社ラーニングエージェンシーでは、階層別研修やオンライン研修などさまざまな研修サービスを提供しています。社内で研修を用意するのが難しい場合は、このような外部の研修サービスを利用するのも良いでしょう。
正当な評価をする
従業員の頑張りに対して正当な評価を与えるのも、従業員エンゲージメントの向上に重要です。正当な評価を与えないと、評価してくれない会社だと感じ信頼を失ってしまい、頑張っても無駄だとモチベーションが低下してしまいます。
そのため、企業への信頼を獲得しエンゲージメントを向上のためにも正当な評価をするのがとても大事です。
株式会社メルカリの事例「メンバーの活躍に大胆に報いる評価制度」
メルカリでは「成果評価」と「行動評価」の2軸で評価する制度をとっています。2軸の評価基準があることで、より正確に評価できるようになっています。また、従業員同士の成果を比較して評価する相対評価ではなく、個人の成果をしっかり評価する絶対評価を導入しており、成果を出しても他従業員との比較で評価されないことがなくなっています。
企業HP:株式会社メルカリ
従業員エンゲージメントを向上させた企業の取り組み事例を紹介!
ここでは、従業員エンゲージメントを向上させた企業の取り組み事例を紹介します。
株式会社小松製作所「定期的な従業員エンゲージメント調査」

小松製作所では、国内と海外のグループ企業を対象に定期的な従業員エンゲージメント調査をおこなっています。調査では、社員のエンゲージメントについてや、エンゲージメントに関わる「ビジョン」「風土・就業環境」について質問をしています。地域や組織ごとの結果をもとに人事の施策や教育制度に反映させ、社員のエンゲージメントを高め社員がいきいきと働けるようにしています。
また、小松製作所の継承すべき価値観を「コマツウェイ」としてまとめ全社員への浸透させており、ビジョンの共有による従業員エンゲージメント向上もおこなっています。
ソニー株式会社「仕事とライフイベントの両立支援」

ソニーには「Symphony Plan(シンフォニー・プラン)」という、仕事とライフイベントの両立を支援する制度があります。妊娠、出産、育児、介護、病気などのライフイベントに対して、休暇制度や時短勤務、支援金などの支援内容が充実しています。
充実した支援制度が働きやすい環境をつくっているので、従業員エンゲージメントの向上につながっています。また、ライフイベントによる離職を防止できるので、離職率の低下にもつながります。
ヤマト運輸株式会社「ピアボーナスでエンゲージメント向上」

ヤマト運輸では「満足BANK」と呼ばれるピアボーナス制度を運用しています。ピアボーナスとは社員同士で報酬を送り会える仕組みのことで、お礼や評価と一緒にポイントやメッセージを送ります。企業によっては一定のポイントが貯まると、お金や景品と交換できることもあります。
ヤマト運輸では、ポイントを貯めるとバッジと交換できます。ポイントを多く獲得した人は式典の際に表彰される仕組みもあるそうです。満足BANKによって社員同士の褒め合う文化が生まれ、社員のモチベーションの向上や、荷物事故の減少などの効果をもたらしました。
この事例は社内コミュニケーションの増加や正当な評価をもたらすピアボーナス制度によって、従業員エンゲージメントを高めた事例であるといえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。従業員エンゲージメントについて解説しました。組織の活性化や人材流出の防止ためにも従業員エンゲージメントを高めるのが大切です。ぜひ一度従業員エンゲージメントの向上について検討してみてください。