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オンボーディングとは?
「オンボーディング(on – boarding)」とは乗り物に乗っているという意味の英語「on – board」から生まれた言葉で、船や飛行機に新しく乗り込んだ人員にサポートを慣れてもらうためのプロセスを指す言葉でした。
企業の人事分野では、新しく入社した従業員にサポートをおこない、組織に定着させ、戦力化させるまでの一連の受け入れプロセスを指す言葉として使われています。
通常の入社時の研修が短期間のものが多いのに対して、オンボーディングは入社時から戦力化まで継続した長期間の取り組みなのが特徴です。新入社員の早期離職や戦力化の遅れを防ぐために、オンボーディングが注目されています。
オンボーディングを実施するメリットは?
ここでは、オンボーディングを実施するメリットを紹介します。
早期離職の防止
オンボーディングを実施すると早期離職の防止につながります。
Adecco Groupにがおこなった「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」によると早期離職の理由として「自身の希望と業務内容のミスマッチ」「キャリア形成が望めないため」「人間関係のストレス」を挙げている人が多いという結果が得られました。このようなキャリアや人間関係の理由による退職は、オンボーディングによるキャリアや業務に対する相談、コミュニケーション機会の増加などの取り組みによって防げるものです。
新入社員の早期戦力化
新入社員が戦力になるまで企業の文化や業務に慣れる必要があり、時間を要してしまうものです。オンボーディングで戦力化までのプロセスを明確に定め、サポートしていけば新入社員を早く戦力化していけます。
採用コストの削減
オンボーディングによって離職率が低下すれば、新たな人材を採用する必要がなくなり、採用コストが削減できます。中途採用の一人あたりの採用コストは約100万円といわれており、採用コストを削減できるのは大きなメリットです。
オンボーディング実施のポイントは?
ここではオンボーディングを実施する際のポイントを解説します。
社内全体で受け入れ体制を整える
オンボーディングを実施する際は、人事部だけでなく社内全体で受け入れ体制を整えるのが重要です。
オンボーディングの施策を実施していても、現場まで受け入れ体制が浸透しておらず、サポートができていないとなれば効果がなくなってしまいます。そのため社内全体で新入社員をサポートするという共通認識を持つ必要があります。
定期的なフォローをおこなう
定期的なフォローをおこなうのも大切なポイントです。一度研修や面談をおこなっても、時間が経つと新たな悩みが生まれるものです。フォローの機会が少ないと、社員の抱える悩みに気付けず、気付いたときには離職してしまうことになりかねません。
そのため、定期的にフォローをおこない社員の状況を把握しておくのが重要になります。
オンボーディングの目的や施策例を期間ごとに解説!
ここでは、オンボーディング施策の目的と具体例を、入社前の施策と入社後1〜3ヶ月、入社後4ヶ月以降に分けて紹介します。
入社前のオンボーディング
入社前のオンボーディングの目的は、内定者の辞退の防止、入社に向けて人間関係の構築や準備です。
入社前の内定者は、複数の企業から一社を選ぶ悩みや、承諾後も本当にこの企業でよかったのか不安に思うなど、さまざまな精神的な負担を抱えるものです。そのため、入社前のオンボーディングの施策では内定者とコミュニケーションを取り、不安や悩みを解消できる取り組みをするのが大切です。
辞退の防止/不安の解消/入社後のイメージを作る/社員や内定者同士の関係構築
人事面談/先輩社員面談/内定者懇親会/オフィス見学/社内報の送付/勉強会
入社後1〜3ヶ月のオンボーディング
入社後すぐは、基礎的な研修をおこなう時期です。社会人・社員としての基礎を身に着け、業務に携わる下地をつくるのがこの時期の目的になります。
新しい環境で人間関係など不安に感じることも多く、この時期にサポートを怠ると早期離職にもつながってしまい、企業は不利益を被ることになります。そのため、入社後1〜3ヶ月はビジネススキルや企業理解を深める基礎的な研修に加え、入社後の不安を解消できるオンボーディング施策をおこないましょう。
社内の関係構築/企業や事業への理解を深める/ビジネススキルを身につける/入社後の悩み解消
新入社員研修/メンター制度/人事面談/懇親会/フォローアップ研修
入社後4ヶ月以降のオンボーディング
入社後4ヶ月以降は入社後の研修が終わり、部署に配属され実際に新入社員が業務に携わるようになる時期です。新入社員を定着させ、パフォーマンスが発揮できるようするのがこの時期の目的です。
配属部署での業務や人間関係などの悩みを解消できる取り組みが大切です。また、会社にも慣れキャリアについても考える時期でもあるので、キャリアに関するサポートもおすすめです。
業務に慣れる/人間関係の構築/キャリアのイメージ構築/新入社員の定着
懇親会/OJT/メンター制度/人事面談/キャリア面談/フォローアップ研修
企業のオンボーディング取り組み事例を紹介!
ここでは、企業のオンボーディング取り組み事例を紹介します。
サイボウズ株式会社「計画的なオンボーディングの実施」
サイボウズはソフトウェア開発、提供している企業です。サイボウズでは、新卒と中途向けそれぞれにオンボーディングを実施しています。
サイボウズでは上記の画像のように、入社後の期間にあわせて段階を踏んだ取り組みをおこなっています。入社後1〜2週間はサイボウズを知ることや社会人としての基礎を身につける期間で、その後実践的な研修をする流れになっています。
また、新入社員向けにオンボーディング期間はさまざまなサポートがあります。新入社員との交流のための飲食費の補助や、人事の方と面談できる「人事ザツダン」など新入社員が、会社に馴染むための取り組みがされています。
LINE株式会社「LINE CARE」

LINEはコミュニケーションツール「LINE」を中心にさまざまなインターネットサービスを展開している企業です。
LINEではオンボーディング施策として「LINE CARE」という社内サービスを運用しています。LINE CAREとはLINEを通じて社員がわからないことをなんでも聞けるサービスです。また、オンライン上だけでなくオフィスにもLINE CAREのサービスカウンターがあり対面での相談も可能になっています。
LINE CAREは社員がなんでも気軽に聞ける場所になっており、社員の不安を解消し安心感を与える取り組みになっています。社員からも好評で、相談件数は右肩上がりだそうです。
参照:SELECK「急拡大する組織でも「チャレンジ」できる環境を。LINE社のマネジメントを支える仕組み」
株式会社メルカリ「オンボーディングポータル・リモートランチ」

メルカリはフリーマーケットアプリ「メルカリ」の企画・運営をおこなう企業です。メルカリはオンボーディングに力を入れており、さまざまな取り組みをおこなっています。
オンボーディングポータル
メルカリではオンボーディングで必要な情報をオンライン上にまとめ、すぐにアクセスできるようになっています。入社後は周りの人にまだ質問するのが難しく、自分で判断して間違えてしまうこともありますが、オンボーディングポータルで正しい情報をすぐに入手できるので、安心して働ける環境になっています。
リモートランチ
現在メルカリでは完全リモート勤務のため、オンラインでのランチ会を開いています。リモートランチでは新入社員とメンターに加えて、関わっておくべき人を招待しおり、入社後にさまざまな人と関係を築ける取り組みになっています。
参照:mercan【「すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を」リモートオンボーディングを成功させる施策 #メルカリの日々】
まとめ
いかがでしたでしょうか。オンボーディングについて解説しました。新入社員の離職防止やパフォーマンスの発揮のために、オンボーディングは大切な取り組みです。早期離職や新入社員のパフォーマンスが低いなどの悩みがある方は、ぜひオンボーディングを検討してみたください。