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秋採用とは?
新卒の秋採用とは、秋におこなわれる採用活動を指します。9月ごろから始まり、12月を目安におこなわれます。春採用で十分な新卒者を確保できなかった企業や内定辞退で空いた枠を埋めるためにおこなわれるのが一般的です。経団連によるルール撤廃や多様な人材への需要の高まりを背景として秋採用が注目を集めています。
株式会社ディスコが2021卒向けの採用活動に関して実施した調査では、約3割の企業が秋採用を実施予定であると答えました。同調査で通年採用を実施予定であると答えた企業は約2割で、春採用以外の時期の採用活動に注目が集まっていることがわかります。また、楽天株式会社や株式会社ファーストリテイリングなどの大手企業でも秋採用がおこなわれています。
春採用と秋採用の違いについてまとめると表のようになります。
時期 | 実施企業 | 就活生 | |
春採用 | 3月〜7月 | 多い | 多い |
秋採用 | 9月〜12月 | 少ない | 少ない |
企業が秋採用を実施するメリットは?
秋採用は春採用に失敗した企業、学生がおこなうものというイメージを持っている人も多いです。しかし、秋採用ならではのメリットも多いです。ここでは秋採用を実施するメリットを紹介します。
秋採用ならではの学生を採用できる
秋採用には春採用とは違った秋ならではの学生が参加します。海外の大学を卒業した学生や、部活動に励み就職活動がおこなえなかった学生、公務員試験に取り組んだが就活に切り替えた学生などです。特殊な経験や打ち込んだものをもっている学生は秋ならでの魅力的な人材です。また、春夏と就職活動をおこなったうえで自分のやりたいことが明確になり、秋採用で再び就職活動をおこなう学生もいます。
一概に内定をもらえていない学生と判断するのではなく、秋に就職活動をおこなっている背景を深堀りしていくことが大切です。
内定辞退率が低い
秋採用のメリットには内定辞退率が低いことが挙げられます。秋採用をおこなっている企業は春と比べれば少なく、自社の内定を承諾してくれる可能性が高いです。学生にとって秋の就職活動は最後のチャンスでもあるので内定辞退率が下がることが期待できます。

実際にデータでも秋採用の辞退率が低いことがわかります。上図は就職みらい研究所がおこなった調査で、21卒対象の就職内定辞退率の推移を示しています。就職内定辞退率は当月までに内定辞退を経験したことのある学生の割合です。4月から8月ごろの春、夏採用の期間までは内定辞退をする学生が多く、割合が上昇を続けています。秋採用が始まる9月からは辞退率の上昇がかなり緩やかになっており、秋採用の内定辞退率が低いことがわかります。
また、春採用に比べ就業までの期間が短く内定者フォローを充実させやすいことも辞退率を下げる要因になります。
競争率が低い
秋採用をおこなっている企業が春より少ないことは大きなメリットです。企業数が多く埋もれてしまっていた自社の情報をみてもらいやすくなります。また、選考時期がかぶっている企業が少ないので、日程の兼ね合いで選考を辞退されることも減ります。競争率が低いので大企業に知名度で劣ってしまうベンチャー企業や中小企業におすすめです。
中小企業の新卒採用についてもまとめているのでぜひご覧ください。
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企業が秋採用を実施するデメリットは?
ここでは秋採用を実施するデメリットを紹介します。
採用担当者の負担になる
採用活動の期間が長引くので採用担当者の負担になります。春採用も実施していると、内定者フォローや研修を並行しておこなうことになります。春採用に比べ企業からの積極的な働きかけをする必要もあります。また、次年度に向けた採用活動も始まるので大きな負担になります。
負担が大きくならないような分担、仕組みを作っていくことが大切です。
コストがかかる
春採用もおこなった場合、2回の採用活動をおこなうことになるのでコストが増加します。また、内定を出した後の研修などにも春と秋でズレが出るので回数が増えてしまいます。
無駄な工程を省きコストを削減していく必要があります。
秋採用を成功させるには?
ここでは、秋採用を成功させる方法を紹介します。秋採用では、学生数も少ないので母数を大きくしていくのではなく、求める人物像の学生に対して、企業側から働きかけていく方法が有効です。
合同企業説明会への参加
毎年秋採用をする企業を対象とした、説明会が開催されています。留学生向けの説明会もあり、秋ならではの学生にも会えます。
スカウト型サービスの利用
スカウト型サービスは、サービスに登録している学生に対して企業からアプローチをかけて採用活動をおこなうものです。学生側もプロフィールを細かく設定しており、人柄やスキルについて把握することができます。プロフィールを参考に企業が学生を選ぶことができ、求める人物像の学生に対してアプローチをおこなえます。
秋採用を実施している大手企業は?
大手企業でも新卒秋採用をおこなっている企業はたくさんあります。
秋採用を実施したことがある企業を下記にまとめました。
サンライズ/ソニー/エーザイ/P&G/ポニーキャニオン/
積水ハウス/NHK/電通/富士通/湖池屋/楽天/ネスレ日本/バンダイナムコスタジオ
2021年7月時点の情報です。年や企業によっては実施内容に違いがあるので注意が必要です。詳しい採用情報については各社公式HPをご確認ください。
株式会社ファーストリテイリング

株式会社ファーストリテイリングはユニクロなどを運営する会社です。「グローバルリーダー社員」の採用が春、秋含め通年でおこなわれています。一人ひとりが仕事について真剣に考え、主体的に行動してほしいという考えのもとで通年採用をおこなっています。学年、新卒、既卒、国籍を一切問わないのが特徴です。選考フローを通過した方には「ユニクロパスポート」が与えられ、発行後3年以内ならいつでも最終面接から参加できます。新卒の枠にとらわれず多様な人材の獲得を目的としていることがわかります。
株式会社ポニーキャニオン

株式会社ポニーキャニオンは映像や音楽などさまざまなエンタメ事業をおこなっている会社です。何かに打ち込んでいて春採用にエントリーできなかった学生をターゲットに秋採用をおこなっています。夢中で何かに取り組み極めた学生を採用するために秋採用を始めたそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?秋採用についてメリット、デメリット、事例を紹介しました。空いた採用枠を埋めるためだけでなく、多様な人材の確保を目的として秋採用をおこなう企業が増えています。ぜひ一度秋採用を検討してみてください。