目次
AI採用とは?
AI採用とは、採用活動の一部にAIを取り入れたものです。本記事では、皆様の疑問を解消すべく「AIは採用におけるどの段階に導入されるのか?」「AI採用がなぜ注目されているのか?」「AI採用のメリット・デメリット」など、AI採用の基本についてまとめました。
AIは採用活動のどの段階に導入されるのか?
現在の一般的な、面接フローは以下のとおりです。
①企業説明会
②本エントリー・応募書類提出→書類選考結果通知
③筆記試験・適正試験→試験結果通知
④一次(二次)面接→一次(二次)面接選考結果通知
⑤最終面接→選考結果通知
⑥内定通知→内定
AIは「②本エントリー・応募書類提出→書類選考結果通知」の段階において、積極的に導入されています。
※面接にAIを導入する「AI面接」との区別をしています。AI面接について興味のある方は以下の記事を参照してください。
新型コロナウイルスの影響により面接のWeb化が進む中、一部の企業で導入されているAI面接。面接官の負担を軽減し採用の工数…
AI採用はなぜ注目されているのか?
AI採用が注目される理由には、多くの企業が抱える「採用活動にかかる膨大な時間、労力」が関係しています。AI採用導入は、採用にかかる時間、社員の労力を削減するために導入されています。
AI採用の仕組みと導入までの流れとは?
採用におけるAIツールは、使用までに3つの作業段階があります。
①過去のエントリーシート(以下ES)のデータを蓄積する
正確に診断するにはAIの判断基準となるESのデータの蓄積が必要。ツールにより差異はあるものの、500以上のESのデータが必要になります。ESの評価項目が、前年と大幅に変わっている場合はデータの蓄積ができないので、ESの評価項目を変更する際には注意が必要です。
②過去のエントリーシートとその合否に関して学習させる
過去の応募者のESと合否を読み込ませます。志望動機、学歴、資格のように、項目別に読み込ませるのが一般的です。「過去の合格者と共通した情報が多いほど高評価に値する」とAIに認識させる段階になります。
③今年度のESを評価する
学習させた過去のデータを基に、今年度のデータを評価します。①の段階で指定した項目別に評価していき、高評価のものを選別します。過去の応募者の情報に似ている応募者ほど高評価、隔たりが大きいほど低評価になります。
AI採用のメリット
AI導入によるメリットを以下の①〜⑥で説明します。
作業時間を削減できる
AIを導入すると、従来、人が選別していた書類段階での審査をAIが過去のデータから自動選別できますので、AIはこの時間を削減できます。
目を通すべきESの選別が可能になる
従来、膨大な量のESから無作為に選び、チェックしていました。AIを導入すると、高評価を受けたESを優先して目を通せます。
一律の基準で選考ができる
人による選考は、その人の経験や考え方が反映され、人事担当者間での異なった基準での採用に繋がる恐れがありますが、AIを用いると、一律の基準で選別できます。
選別された応募者ひとりあたりに、多くの時間を割り振れるようになる
書類選考での選別がなくなり、絞り込まれた候補者への面接と選考に当てる時間が増加します。「内定者のフォローをより充実させる」「従来、1回しか行えていなかった面接を2回行う」「応募者間の交流の機会を増やす」など、一人に対応できる時間が大きく増えます。
社員の労働時間の有効活用ができる
「AIによる時間削減により浮いた時間で、社員は別の仕事に手を付ける」など、社員の労働時間を有効活用でき、企業の生産性が上昇します。
優秀な人材の学生時のESを参考にできる
ESから応募者の将来の活躍を想像するのは困難です。しかし、「現在活躍中の社員で、特に優秀な成績を残している人材の入社時のESデータ」は残っています。AIはこの事実を基に、現在の優秀な社員のESから、将来を期待できる人材を選別できます。
AI採用のデメリット
ここからは、AI採用導入のリスクやデメリットについてご紹介します。
応募者の抵抗感への対策が必要
文系理系を問わず「AI採用に賛成できない」と答える学生は8割近くいます。高評価の応募者のみ書類選考通過にし、それ以外の応募者を人事担当者が判断する等、AIに対する応募者の抵抗感への対策が必要になるでしょう。
具体的な対策
・企業がAI採用を行っている理由を明らかにし、自社なりのスタンスを持つ。
・採用担当者の感覚や趣向に頼らない、データに基づいた公平な採用ができることをアピール
導入事例が少ない
導入事例が少なく、ツール提供業者の協力なしでは、コストや手間の計算がしづらいです。導入時にはツール提供企業との慎重な計算が必要になります。
前例のないデータへの反応が不明
過去のデータにないESへの判断は不明です。優れた人材を書類選考の段階で「過去の採用路線から外れている」という理由だけで、落とすこともありえます。だたし、読み込ませるデータの選択権は企業にありますので、試行錯誤を重ねた後、このようなリスクの排除は可能です。
新たに人の手で行う作業もある
「なんのためにAIを導入するのか」「どのデータを読み込ませるのか」また、その結果を分析し「採用のどの段階にどの程度組み込ませるのか」「定期的なメンテナンス」「メンテナンス用のエンジニアチームとの連携」など新たな業務工数もあります。
差別に繋がる?との声も
AIは過去のデータの蓄積に基づいて判断を行うため、過去の採用例に偏りがあった場合その差別がさらに増幅されてしまう可能性があります。
AI採用による選考を行う場合、正しく機能するようになるまでにはまずは採用データを収集し、それをAIに学習させる時間が必要となります。
AI採用の導入事例
まだまだ認知の低いAI採用ですが、いち早く実施して、すでに活用している事例をご紹介します。
Amazon(アマゾン)
アマゾンはAIを採用に導入した企業の代表例です。アマゾンの利用したAIは「100人の履歴書を読み込ませると、過去のデータに基づいたランク付けをし、上位5人の選出する」機能がありました。
しかし、エンジニアという職業は男性比率が大きかったため、「女性はエンジニアにふさわしくない」とAIの分析が行われた結果、採用評価の上位に男性が集中してしまいました。アマゾンはシステムを修正したものの、別の差別を助長しうるとしてAIの採用への導入を中止しました。
サッポロビール
サッポロビールは、AIのみの選別でなく、AI選別と人事選別の融合を図っています。
まず、AIで高評価を得た応募者は書類選考を通過とします。
その一方で、納得できない応募者への対策として、サッポロビールはAI採用に高評価を受けなかった応募者には、従来どおり人事が目を通し判断します。
AIのみの書類選考ではありませんが、AIの導入により、従来600時間ほどかかっていた書類選考時間のおおよそ40%の削減に成功しています。削減した時間を活用し、「セミナーやインターンシップの回数の増加」や「ESの応募期間の延長ができる」などのメリットが得られました。
横浜銀行
横浜銀行は、AIによる将来のハイパフォーマーの見極めを目指しています。人事担当者の判断で、ESのみから10年後のハイパフォーマーを見極めるのは困難です。しかし、AIを用いると「現在のハイパフォーマーと似た傾向がある応募者のES」の評価を上げ、優先して目を通すことができるので、見落とす可能性が減少します。
「人の作業の効率化のみでなく、人にはできない作業に対するAIの活用法」が横浜銀行におけるAI採用の特徴になります。
AIを採用に導入するには?
AIを採用に導入するには、既存のAI採用ツールを導入するのが一般的です。現在、様々なIT採用ツールがあります。FedEx(フェデックス)、Capital one(キャピタルワン)、Softbank(ソフトバンク)などの大企業も、AI採用ツールの使用またはテスト行っており、AI採用ツールを自社の採用に導入しています。
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まとめ
採用の工数削減や時間の有効活用を期待されるAI採用。メリット、デメリットの双方を理解していただけたでしょうか?今後、ますます導入する企業は増えると思われるAI採用について、読者の皆さまの理解が深まったならば嬉しく思います。